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始めに医師会発祥の歴史を知りたいと思った。南医師会が何時、どの様にして出来たのかということよりも、医学の専門団体として、国家や社会の発展に非常に大きな役割を担っている医師会という組織が、どの様にして造り上げられたのかを知りたいと思った。
歴史書には古代の国ぐに、メソポタミア、エジプト、印度、中国、ギリシャ、ローマ等に、西暦紀元前から医師という職業が独立して存在していたことを伝えている。日本では、最古の史書である古事記(712)と日本書紀(720)に、古墳時代中期(390−500)に朝鮮から「良医(くすし)」や「医博士(くすりのはかせ)」が来て、日本に医療を伝えた事が記されている。それは、幻の邪馬台(やまたいこく)や女王卑弥呼(ひみこ)の頃、倭人が朝鮮に攻め入ったとされる遠い昔の物語である。その様に古い話は我々の日常に繋りがなく、普段の関心外のことであるが、歴史書を読んでいると知らず知らずの中に物語の中に引きこまれて仕舞っている程興趣が尽きない。それで飛鳥(あすか)の頃から江戸時代まで、1200年余りの日本の医事史を私なりにダイジェストしてみたいと考えた。廻り道をすることになるが、祖先の歴史を繙(ひもと)くことによって医師としての自分の足もとを、より一層強く踏みしめることが出来ると思うからご辛抱の上ご一読願いたい。
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(目次) |
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