わが国の保健システムは、WHO加盟191カ国中第1位と評価されている(World Health Report 2000)。それには、国民皆保険、医学医療の進歩、差別の少なさ、貧富の差の少なさ、健康に関するインフラストラクチャーの整備などが貢献している。国民皆保険は被雇用者の健康を確保するために創られたものであり、また、経済力と雇用の安定は健康水準を高める重要な要因である。しかし、右肩上がりでなくなった経済のもと、失業の増加、雇用の不安定化、ホームレスの増加をもたらし、その結果、自殺の増加、出生率の低下といった問題に直面し、わが国の保健システムの構造改革が求められる。