会長のあいさつへ

大阪市南医師会沿革

〜医師会とは何なのか〜

 日頃から皆さんは、医学の知識を求めたりかかりつけ医を選ぶなどして、不時の病に備えていますが、医師が所属する医師会については殆んど無関心であります。併し、医師会は、医師が一人一人では実行出来ない事業を行って社会に貢献することを使命とする重要な組織でありますから、医師会をより深く理解して頂く為に、その成り立ちを説明させて頂こうと思います。

 明治39年(1906)に日本で始めて医師法が制定され、それに基づいて明治40年に大阪市医師会が、大正2年(1913)に大阪府医師会が、大正12年には日本医師会が設立されました。

 この様に医師会が地方から中央に順次積み上げ式に設立された事は、医師会の機能構成が、医療の現場である地方に重きを置いている事を示すものであります。又、その当時の大阪市は東西南北の4区だけでしたから、私たちの南医師会は、大阪市医師会の支部になっていました。

 昭和12年(1937)に日中戦争が勃発し、日本は国家総動員法を発令して臨戦態勢を固めました。そして医師会を昭和17年に解散し、日本医療団に改組して戦時態勢をとりました。医師の多くが軍医として戦地に赴き、軍需工場等の診療に奉仕する医師も多数居ました。その頃から米軍機の本土空襲が始まり、銃後を守る老医達が町々の救護所に待機して救護活動に当たりました。

 そして昭和20年(1945)、日本は連合軍に無条件降伏をし、敗戦国日本の無残な日々が始まりました。占領軍司令部の指令により日本医療団を解散し、新に日本医師会を始め、全国の道府県及び郡市区に、任意加入の社団法人新制医師会が誕生しました。これが現在の医師会で、大阪府医師会は昭和22年11月1日に設立、南区医師会は同年11月15日の設立であります。又、平成元年2月に南区と東区が合併して中央区になった為に、南区医師会を南医師会に改称しました。

 医師会設立の経緯を書き終えて、医師会とは何なのかを改めて考えてみました。その一つは医師会員に対する任務にあり、もう一つは社会に対する使命にあります。

 医師は大学で医学の基礎を学び、人の命を預る聖職者としての自覚を持って医師になりますが、その後も生涯に亘って新しい医学医術を修得し、医の倫理の涵養に努めねばなりません。 医師会の数多くの会員対策事業の中でも会員に、この生涯研修の場を供する事は、最も基本的で、不変の任務であります。

 社会に対する使命は、地域医師会は地域住民の健康を守る為に種々の計画を立て、行事を行っていますが、又、医師会は医学の学術専門団体としての理念と信念を以て、医師会を挙げて遂行しなければならない事業もあります。世界一優れている日本の皆保険制度を守り、国民と共にこれを次の世代に継いでゆくことが現在我々に課せられた重要な使命であると考えています。